追記

終わり近くの、試合の場面。

本当に、ボクシングの試合を観ているようで、どちらが勝つのか、その行方を、ただただ見守っている自分がいました。


途中から、全てがスローモーションになっていくのですが、
それがさらに、意識を引き込み、
試合終了とともに、時間の流れが戻った時、思いもかけず緊張していた自分に気付く。


そして、新次の感情が、舞台に、客席に、広がりあふれる時、気づくんです。


彼が大量の汗をかいていることに。


ボクシングの試合ですから、汗をかいているのは、普通だったら当たり前ですが、
その前までの数分間、試合はスローモーションで行われていました。


運動量からしたら、汗は引いてるはずだと思うのですが、

今、その瞬間まで、極限の闘いがあったが如く、
全身汗にまみれ、感覚は研ぎ澄まされ、
二人のぶつかり合いの全てを、さらけ出します。


それは、舞台という概念を超えて、観ているものを引き込んでいく。


もしかしたら、今の日本にはもうない、
理屈では推し量れない、破天荒な引力。


そんな新次を、松本くんは、その「存在」で体現していました。