野望


今、ちょっと、板にのせてみたいお芝居があって。
ある部屋があって、そこにいる一人の男と一人の女の話。
会話がね、男は相槌しか打たないんです。
「うん」とか「ああ」とか。
で、女はずっと話しかけてる。
「食後はコーヒーでいいかしら」とか「ずいぶん日が長くなったわね」とか。
で、話の内容がだんだん、
カップはここよ」とか、「色物と白いものは分けて洗うのよ」とか、
「そんなんで本当に大丈夫かしら」とか「心配だわ」
って方向になって。
で、ラスト近くに女が言うんです。
「じゃあ、そろそろ」
すると男が言う
「もう少ししたら、花が咲くんだが・・」
さて、ここで女は何て言うでしょう?
「・・そうね、それを見てからでもいいわね」なのか、
「見たいけど、でももう時間がないの」なのか、
「帰ってきてからでも、間に合うでしょ」なのか。
さてさて。
これはですね、演出によっても役者によっても、いくらでも変化できるんです。
女が出ていく最後の日なのか、女がこの世を去ろうとしているのか、
単に旅行に行くところで、男が駄々をこねているのか。
花もね、あと数時間後なのか、数日後に咲きそうなのかによって違ってくるし。
ホントに、間の取り方で全く違う芝居になりそうだから、面白いなって。
女が犯罪者ってテもあるし、男が入院してて、そのお見舞いとか。
あるいは、地球最後の日で、2人は静かに眠りに就こうとしているのか。
観客に結論を委ねて、男の「花が咲く・・」って台詞で終わっても面白いし。
男と女は、夫婦でも親子でも兄弟でも行きずりでも、何でもいいし、
年齢もね。
例えば、役者に設定を与えずに、お互いがどんなキャラクターを意図しているのか、
演じながら探らせても面白いかも。
まぁ、どうするにしても、役者に力量がないと、たんたんとした流れで訳わかんないですケド。(笑)
何も喋らないで、新聞読んだりとか、沈黙とか。
そういう「間」の中から、2人の関係が浮かび上がってくるようなお芝居。
やってみたいです。