cry for the moon

 
昨日、『ウェストサイド〜』のパンフレットなるものを購入してきまして、中を見てたんですが、
ベルナルドのキーワードが“PRIDE”だったんですね。
で、トニーは“ATTRACTIVE”、リフは“DRIVING”だったんです。
それで、「あぁ、そうか」って思いました。
松本くんが演じるベルナルドから感じていたものの全てが、つながった気がしたんです。
彼のベルナルドは、辛くても哀しくても苦しくても悔しくても、胸を張って前を見据えている人。
映画のベルナルドは、ステップを踏むように、飄々と綱渡りをしている印象があったんですが、
松本くんのベルナルドは、もっと孤高の、その背に色々なものを背負っているような、
他人を傷つける時に、同時に自分も傷つけてしまう、両刃の剣のような危うさを持った人。
たぶん彼は、トニーに人として惹かれていて、だから1対1でぶつかってみたかった。
そして、自分が独りでいるのに、トニーという存在のいるリフが妬ましくもあった。
その、複雑な感情の混ざり合いと、リーダーとしての“PRIDE”。
 
“ATTRACTIVE”は「引力(魅力)のある」、“DRIVING”は「猛進する」とか「突当る」って意味だそうで、
それに対する“PRIDE”。
トニーと踊るマリアを見た時、もしかしたら一瞬、家族までも自分から離れていってしまうような、
そんな怖れすら感じてしまったのかもしれない。
そして、トニーに「ナルド」って言われた時、彼は何を感じたんだろう。
憎しみと間違えてしまうほどの憧憬を感じたのかもしれないし、
動揺してしまうほどの嬉しさを感じたのかもしれない。
そして、彼の“PRIDE”が、それを認めさせなかった。
 
・・哀しい、ですよね。
引き返せない、ギリギリのところまで来ていた、彼の“PRIDE”。
少し下がって周りを見たら、愛されていることに気付けたはずなのに。
アニータにだって、深く深く愛されていただろうに。
触れたら切れそうな空気をまといながら、それ故に どこか孤独で、さびしい人。
松本くんが演じるベルナルドから私が感じたのは、そういうものでした。