演技が「上手い」と感じさせる役者は、役者としてありなんだろうか。
本来は、役を透して、観ている者に何かを感じさせることが出来る者が、「役者」なんじゃないだろうか。
滑舌がいいとか、台詞回しが上手いとか、そんなのいくらでもいる。
だけど、それだけじゃ伝わらない何かが、絶対にある。
笑顔ひとつで、視線ひとつで、観ている者の心を訳もなく引きずり込む瞬間が、確かにある。
もしかしたら、役者にとっていちばん恥ずかしいのは、「上手い」と言われることかも知れない。
本物の「役者」は、その存在ひとつで、立てるのだから。