楽園の果て、日出ずる場所

溢れ出る、または集約する感情



8日と9日、『エデンの東』を観てきました。
鈴木裕美さんの演出は去年、『マダム・メルヴィル』を観ていて、私の好きな世界感だったのですが、
『エデン〜』は出演者の数も多く、より複雑な人間関係と、重なり合う感情の行き違いを描いていて、
とても観応えのある作品でした。
本当は9日だけ観に行く予定だったんですが、利用する交通機関の関係で8日に行くことになりまして、
もしかして当日券で入れるかな〜と思ったら、なんと6列目が取れちゃいました。
なので、初『エデン〜』がすごい前の席で、表情とかよく見えて、伝わるものがまた違って、
すごく共感したり反発したりしながら観ることが出来ました。
9日は2階席だったので、全体を客観的に観たカンジでしたね。
で、この2回に関してだけでも、主演の松本くんの演技が違っていて、
この人は本当に、“キャル”として舞台に立っているんだなぁ、と。
1つの例としては、テーブルに食器を並べている時に、グラスが椅子の上に落ちたことがあったんですが、
彼はそれを拾うと、ふっと息を吹きかけて、大丈夫かな?って顔をして、テーブルに戻したんですね。
あぁ、キャルなんだな、と。
ラスト近くの泣き方も、8日の夜と9日では違っていたし、
本当に、その時の心の動きで変わっているんだろうな、と思いました。
見ていて一番面白かったのは、キャルとケイト(銀粉蝶さん)のやり取り。
間とか声の調子とかがスリリングで、すっごくワクワクしながら見てました。
全体として、とても完成度の高い作品だと思います。
ラストで、それぞれがそれぞれに対する愛情に間に合った事が、
この交錯する感情の流れに、ひとつの道しるべを付けたのではないかと、
そんな風に思いました。