好きの枝、嫌いの壁

「私、○○さんって嫌い」と友人が言いました。
【目が笑ってなくて、相手を見て話し方を変えるから】だそうです。
○○さんとは、メディアに時々登場する壮年の人なのですが、
会ったことってない・・よね・・?
〜出来ることなら、嫌いなものではなく、好きなもので自分を語りたい〜
そんな風に願う時、彼女の言葉がひどく悲しく心に残りました。
知らない人間を一方の側からだけ見て、自分の判断だけで嫌うのは、
つまり、そちらの側に壁を作り、自分の枝が伸びるのを自ら妨げることで、「自分」という木の形を作ろうとすることなのではないか、と。
そんな風に形作った自分は、確かに他とは違う形だろうけれど、
もしかしたら、壁を作った側に枝葉を伸ばすことで、また違う光を得られたのかもしれない。
でも人は、他人を否定することで自らを肯定していくことのほうが容易で、
そうやって形作られた自分が、様々な種類の壁に囲まれた中にいることに気づかぬまま、
その生涯を終えるのかもしれません。